わからないこと

こないだ、自分の背中の写真をとってもらった。はじめて自分の背中の写真をみた。あまりきれいじゃなかったその背中の写真を自分のものだと頭で理解するのには、まだぼくの人生経験が足りないようだ。

そんなことはさておき、自分自身について知らないことがなんと多いことか。自分の心、というならまだしも、自分の身体でさえみたことがない部分が多い。ぱっと10枚写真をみせられてどれが自分のものでしょう、とか言われたら絶対正解しない自信がある。自分自身のことのくせに、だ。

しかし、われわれは自分自身のことを知っている気がしている。

いや、自分自身のこと、というものと、自分自身が本来どういうものか、というものは本来違ってしかるべきなのかもしれない。「多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない」とシーザーに言われたところで、「見たいと欲する現実」が自分にとっての「現実」なのだ。「見たいと欲する自分」が「自分」であり、見たことのないお尻の穴なんてものは、自分自身には含まれない。そう思ってたほうが理屈が通りやすい。

「わからないことはわからないままでいいのだよ」
わからないから存在しないはずのお尻の穴がぼくにそう言ってくれてるような気がする。